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2025/04/18

ウロボロス

物置に捨て置かれていた、祖母が使っていた桐ダンス。処分するか~?
恐る恐る開けてみたら…その外観より、はるかにきれい。木の色が明るい。

今まで興味がなかったから、ただの箪笥だと思ってたけど…よくよく見たら、着物がきっちりしまえる仕様なんだな~。観音扉を開けると、桐の箱の受けの部分?が引き出せる。
そういえば、祖母は脱いだ着物をその上でチャチャっと皺ひとつなく畳んで、帯と一式をまとめて一段に仕舞っていた…気がする。明治生まれの祖母が日常で使っていた。嫁入り道具だったのか?…百年くらい存在してるってことだ。更に、物置にしばらく放っておかれたのに、内側の木材はこんなにきれいに残っている。どんな森で育って、樹齢なん年で箪笥になって今まできたのか…。
一方、この先、絶対着ないけど売れないし捨てられない振袖とか七五三の着物とかがプラスチックのケースに入れられて…大事に仕舞ってあると云えば聞こえは良いが…こちらも捨て置かれている。

というわけで…桐ダンスに着物を素敵に仕舞ってみたいと思ってしまったので、まず箪笥をきれいにしなくては!と思ったのだけど、職人さんに頼むとまあまあよいお値段がするので、どうせ捨てるつもりだったんだし失敗してもいいかと、自分で表面にやすりをかけました。電動やすりを無心で握ること、まる三日。
無心というか、悟りの境地。
これをきれいにして着物を仕舞って取っておいたところで誰か着るの?意味ある?この時間、他にやることあるんじゃ?やめる?
いや?そもそも人生に意味なんてないのよ。ぴっちりこの中に納まる着物をみたいだけなのよ。その気持ちのためだけにこの時間と労力使ったところで…いいんじゃない?時間も無駄だし、価値も意味もないけど。逆に、価値ある時間も究極を問えば意味はない。

で、私がいなくなったら、時を経た骨董品の処分に誰かが困るんだろうね…。
たぶん、そこに意味がある。

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